お知らせ情報インフォメーション
墓所の撤去工事A:西大寺奥之院墓地
2017/10/28



前の記事で墓所をご紹介した、西大寺奥之院墓地での撤去工事の続きです。
四十九院が施された非常に立派な墓所です。
四十九院とは何か、その弥勒信仰との関係など、前回記事で少し触れましたので、ご興味の向きは是非そちらをご参照くださいませ。
ともあれ作りが立派というだけでなく、間口が15尺以上、奥行も11尺以上という広い墓所です。
こちらの墓所を、中の五輪塔や墓前灯籠、墓石類だけでなく、巻石まですべて解体撤去し、更地にするというのが今回の工事内容です。
えー、広い墓所の撤去となりますと、作業としてはボリュームが格段に増すので、その点は大変になります。
また、こちらの墓所、西大寺奥之院墓地の中でも最も奥まった箇所にありまして、たとえばトラックを横付けしてクレーンで墓石を吊り上げ、そのまんま荷台に収容してしまう、といったことができません。
墓石や残土などを、墓地の入口に停めたトラックまで運んでいくという小運搬の回数が増えてきます。
とはいえ泣き言を言っても始まりませんので、お墓の中の石塔類から解体・撤去に着手していきます。
中央の五輪塔を残して、区画の中のものを片付けていくわけですね。
さらにこの五輪塔も撤去し、土出しを行なって、五輪塔の下にあったコンクリートの納骨室もやはり取り出します。
墓所内に立ち並んでいた石がなくなると、かなりすっきりした印象になります。
これでほとんど作業完了、と言えればいいんですが……。
実際のところこの時点で、60%終了といったところです。
というのも、これからさらに巻石を片付けなければならないからです。
これがまたなかなかに大きなものなのです。
延石の幅は、上のきれいなところでほぼ4寸5分ですが、古い時代に作られた巻石というのは、見えないところがきれいに切られておらず、ごつごつ出っ張りがあったりしますので、底の方では太いところで幅6寸くらいになります。
高さは概ね1尺強。
それが四方足すと50尺分ほど巻かれているわけですから、単純な石の量としても相当です。
さすがにこんな延石を丸っと搬出はできませんので、現場で細かく割らせてもらいます。
そして小さくした石を一輪車など使用してとりあえず人力で移動させ、参道が少し広くなっているところまで出します。
そこで今度はキャタピラーの運搬車に積み替え、墓所入口のトラックまで運ぶという作業を繰り返します。
運搬車に巻石が乗っている様子が写真二枚目ですね。
撤去って、ほんと地味ながら根気のいる作業なんです。
秋になって涼しくなってきたのが救いですね。
すべての搬出作業を終え、お墓があった場所の土を均して整地すると作業完了。
写真三枚目のようになりました。
さすがに広い墓地だけあって、ぽっかりと空間ができましたね。
この後、このスペースに新しい区画ができるのか、そのあたりはわかりませんが、撤去仕事の後はいつも、これからまた新しいお墓が建つといいなあと思います。
ともあれわれわれの仕事はここまでとなります。
西大寺奥之院墓地での墓所撤去工事、これにて完了です。
