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色の民俗:赤

2020/11/17



前回は白という色にまつわる死生観や民俗についてお話ししました。

本日もその流れで、今度は赤についてお話ししたいと思います。

紅白と対で用いられることもありますが、赤ってのはなんとなくおめでたい色というイメージがありますよね。

お赤飯なんてのはその代表格でしょう。

 

お墓っていうのはどちらかというと、陰なイメージで、赤とは無縁のように感じられるかもしれません。

ところがそうでもなくて、古くはお墓を建てることもおめでたいことのひとつと観念されており、その考え方は今も残っています。

陰宅、陽宅という言い方をしますが、陽宅というのは生きている人間が住まう家のこと。

反対に陰宅というのは、死者が住まう家、つまりお墓のことです。

現在でも新しい家を建てたら普通に新築祝いをするように、お墓を建てることも、いわばご先祖様のために新築の家を造るようなもので、おめでた事の系列と意識されていたわけです。

だから新規建墓の際のお供え物として、赤飯や紅白のお餅などは普通のことだったのです。

 

さらにお墓で赤色といいますと、石塔の背面には通常、建立者のお名前を刻みますが、その建立者名が赤く彩色されているのをご覧になったことがあるという方は、多いのではないでしょうか。

弊社の場合でも、新しくお墓を建てる場合、建立者名の彫り入れには基本的に赤を入れさせていただいております。

 

どういうことかと言いますと、建立者として名前を刻まれる方というのは、ほとんどの場合が現在ご存命の方なわけです。

ところが、お墓というのは死者の住まいですので、そこに生きている方の名前を並べるというのは、本来危ういことでもあるわけです。

生者が死者の世界に引かれる、というイメージでしょうか。

オカルトと言ってしまえばそれまでですが、霊的なものへの感受性を無視してしまっては、民俗は語れません。

で、赤という色は単に活力を象徴するだけでなく、古来、魔除けのような意味合いも持ってきたのだそうです。

そこで、生きている方が死者の世界へと引っ張られることのないよう、まじない的な意味で建立者名には赤を入れているようです。

昨日と同じく民俗学者・宮田登さんの『ヒメの民俗学』(ちくま学芸文庫、2000年)を引用しますと、このようなことが書かれてあります。

 

「部族社会では、赤を身体に彩色することは主として威力の誇示であるが、たぶん呪的な意味がこめられているだろう。日本の古代にも、「朱丹を以て其の身に塗る」という倭人の風俗があり、身体に粉飾をほどこしている。埴輪にも、男子は両頬と喉を、女子は両頬と額に、赤色をつけたものも見られるから、美的化粧以前の意味があったと想像される。

 赤はまた血の色でもある。陽や火と同様に、生命の根源的なものと一致する象徴的な色である。赤色が邪悪なものを防ぐ力をもつとする思考は、ごく素朴な感覚なのだろう。刺激的でかつ衝動的な色だからこそ恋愛とか情熱の具象化した色とも認定されるのであるが、一方では悪霊除けの神秘な色にも成り得た。たとえば天然痘にかかった者は、全身に赤い布の衣類を着せられ、紅染めの蚊帳の中に入れられたり、赤い壁紙をはった部屋に閉じこめられた。赤絵というのは疱瘡神を追い払う図柄があるが、これは全て赤一色に刷ったものである」

(267-268頁)

 

一見些細なことでも、ちょっと追求しただけでこれほど興味深いのですから、もっと掘り下げるとますます面白いのでしょうね。

お墓と色に関わるお話は、また面白い話題がありましたらご紹介してみたいと思います。

今回は赤色について、でした。


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