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ご戒名(法名)の彫り入れ(追加彫刻)についてD
2019/03/11

新しく仏様になった方がおられる場合、その方のご戒名や俗名、没年月日などを既存の墓石や霊標に刻むのが追加彫刻ですね。
もちろんキリスト教の方や神道、無信仰の方には戒名はありませんし、浄土真宗では法名と言いますが、ここでは便宜的に「戒名」で統一させていただきます。
さて、基本的な追加彫刻の仕事の流れ、細部についてはこれまでの記事でご紹介してきたので、ここでは豆知識的なことをご紹介します、と前に予告しました。
どんなことかといいますと、たとえば「享年」と「行年」の違いっておわかりになるでしょうか?
これ、おそらく慣用的に使われてきた言葉ですので、それぞれの由来や使い方の変遷なんかを調べていくと、きっと非常に難しいことになり、それだけに面白いものでもないかと思うのですが、さすがに私にそこまでの能力はありません。
検索などしていただくとわかりますが、一般的には次のように説明されます。
「享年」とは天から「享」けた年数。
「行年」とはこの世で修「行」した年数。
いずれも漢字としての意味合いに着目した説明で、亡くなるまでに重ねた歳月のことを指すという点では変わらないのですが、「享年」の方は寿命を受動的に捉えた解釈、「行年」の方は同じことを能動的に捉えた言い回しと思うと、興味深い対照ですね。
さて、どちらを使用する事例が多いかということになりますと、難しいですね。
地域差もあることでしょうから、数量的な調査をしたりしたら、地方ごとの傾向とか出たりするのかもしれません。個人的な印象として申し上げますと、弊社の近辺では古くは享年の方がよく使われ、近年では行年が多いという気がいたします。
ところで享年と行年となると、お亡くなりになったのが何歳かということですが、これも満年齢と数え年とどちらを使うか、という問題があります。
これも別に決まりのあることではないのですが、もしどちらがいいかと問われれば、弊社では数え年の方をお勧めします。
なぜかというに、生まれた時点で一歳とする数え年の場合は、お母さんのお腹で過ごした一年が反映されていると発想するからです。
お墓は基本的にこれまで代を重ねてきたご先祖様をお祀りするものですので、最も直近の血脈である母親の恩を刻むという意味でも、数え年の方が先祖への感謝をよく表現できているのではないか、ということですね。
最後に、亡くなった方がおられた場合、追加彫刻を行なうのはいつがいいか、ということですが、これもまた決まりはありません。
四十九日や百箇日にご納骨なさるのに合わせて、という方が比較的に多いという印象はあります。しかしお彼岸や初盆、一周忌などを機に、という方ももちろんおられますし、こだわらないという方もあり、千差万別ですね。
強いてまとめるなら、亡くなった方に対する気持ちの整理をどのようにつけるか、という部分と関連してくる、と言えましょうか。
私たちとしましても、まずなによりその点に寄り添いたいものだと、常々考えております。
今回は長々と追加彫刻についてお話しさせていただきました。
少しでもご参考になるところがありましたら、幸いとするところです。
