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ご戒名(法名)の彫り入れ(追加彫刻)についてB
2019/02/28


このところ、いわゆる追加彫刻の仕事についてご紹介しています。
新たに亡くなった方がおられる場合に、その方のご戒名(法名)を石塔や霊標に彫り入れる、という仕事のことです。
浄土真宗では戒名のことを法名と呼びますが、今回も便宜上、以下ではただ戒名とのみ記すことにします。
前回の記事では、お客様にご戒名を確認するやり取りなどをし、原寸大の文字原稿を作るまでをご説明しました。
特に現場の墓所に行って既存の彫刻の拓本を取る、「字刷り」という作業工程をクローズアップしました。
今回はそれに続く彫刻の実作業について、ご案内しようかと思います。
まず、原稿についてお客様からオーケーを頂戴しますと、それをゴムに反映させます。
ゴム?とお思いになるかもしれませんが、まずは実物を見ていただきましょう。
写真一枚目のようなものです。
グレーがかった緑色のものがゴムシートです。
載せられているのは、一見普通のテーブルのようですが、プロッターというこの作業専用の機械です。
これ、なかなかの優れものでして、パソコンと連動しており、専用ソフトで作成した文字原稿に合わせて、このゴムシートをカッティング、切り抜くことができるのです。
ゴムシートは背面がシールになっておりまして、一枚紙をめくりますと石の上に張り付けることができるようになっています。
プロッターにかけたゴムを石に張り、切り抜かれたところを剥がしていくと、石の上に彫るべき文字が浮かび上がってくることになります。
文字だけの説明ではイメージしづらいかもしれませんが、具体的には写真二枚目に見られる作業です。
プロッターを通したゴムシートは、遠目には一枚もののきれいな表面のままに見えますが、実は字が切り抜かれており、シールで石に張り付けてから、切り抜かれた箇所を剥がすと、上の写真のようになります。
石に彫刻を施すには、エアコンプレッサーで圧力をかけたカーボンの粉を吹き付けて行ないますが、こういったゴムを使うことで、文字の転写と彫らない部分の養生とが一度にできるというわけです。
昔は、こういったゴムシートを使うにしても、カーボン紙で原稿の文字を転写し、手作業で切り抜いていました。
それを思うと実に楽になったものですね。
ただし、ですが、お墓の正面の文字だけは、他の文字よりも大きく深く彫るため、養生のゴムシートも少し厚手のものを使います。
するとプロッターの設定なども変える必要がありますが、それはむしろ手間だということで、今でも正面文字のゴム切りに関しては手作業で行なっています。
このあたり、まさに職人仕事という感じです。
さて、こうして切り抜き済みのゴムシートが石に張り付けられている、という状態で彫刻準備は完了です。
いよいよ彫り入れ、となるわけですが、またちょっと長くなってしまいました。
稿を改め、次は本当に石を削る、という工程についてご紹介したいと思います。
