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石屋の道具:切削機
2018/06/05



今回はまた趣向を変えまして、石屋で使用する道具のご紹介です。
前に同様のテーマで記事を上げた際は、一輪車について取り上げましたね。
一輪車は石屋に限らず、農業、園芸から学校や家庭でのちょっとした資材運搬に至るまで、幅広く使われる一般的な道具ですが、今回はまさに石屋ならではという機械に注目します。
表題にもあります通り、「切削機」です。
切削とは読んで字のごとく、切ったり削ったり、ということになりましょうか。
ここで取り上げたいのは、要するに石を切る機械なのですが、やはり現物をご覧いただいた方が手っ取り早いでしょう。
写真一枚目のようなものです。
ヴィイーン、と大きな音を立ててブレードが回転し、前後に往復を繰り返すことで、少しずつ石に刃を入れ、切っていきます。
実際のところ、石のような硬いものはスパッと切れるわけではありません。
ブレードの外縁には工業用ダイヤモンドのチップがびっしりと取り付けられていまして、ブレードを高速回転させることで、石を少しずつ削っていく、というのが実態になります。
最終的な目的は石を「切る」ことですが、その過程は「削り」でもあり、トータルで「切削」と呼ぶわけですね。
石の加工というのは、戦後しばらくしてから機械化され、この切削機のような加工機械を、日本中の石屋がこぞって導入した時期があったと聞きます。
おそらく墓石の世界でも、ものすごくインパクトのある革新だったんだろうと想像されます。
弊社で使用しているのは、中口径と呼ばれるものになりますが、もっと大きな原石を扱うような、石材生産地の加工工場ですと、大口径と呼ばれる見上げるほどに巨大なブレードを備え付けています。
次の写真は中国最大の石材産地である、福建省の工場で撮ったものです。
何ごともやはり、それに見合ったサイズというのがあるわけですね。
弊社の切削機を写した最初の写真ですと、切っているのは塔婆立の台石です。
ステンレスの塔婆立の足元を固定するためのものですね。
この台石、墓所内の土に埋めて使うことも多いのですが、この時は巻石に乗せる形で設置することになったため、そのままの寸法ではやや背が高過ぎました。
そのため少し下を切って、巻石に乗せたときに見栄えがするような高さにしました。
もう一度見ていただきましょう。
最後の写真です。
ちなみに石を切り進めるには、少しずつ刃を沈めていく必要があります。
センサーで自動感知してくれるような最新設備ではありませんので、手動で切削するか、あるいはストッパーをかけておき、自動往復してそのストッパーに当たるたびに刃が少し沈むような設定にしておくか、どちらかです。
一番使用頻度が高いのはどういう作業のときかといいますと、やはり巻石用の延石を切ることだと思います。
地元の墓地では、4寸×5寸や4寸×8寸といったサイズの延石でお墓の区画を囲うことが多く、会社に置いてある長い延石のストックを切って使う、というのはしばしばですね。
そう思うと、この切削機という機械には随分とお世話になっていますね。
かなり年季が入ってきたので、たまに調子を崩すことがありますが、大事に使っていかなければ、と思いますね。
道具を大切にするのはどんな仕事でも基本だと、あらためて考えた次第でした。
