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関西と関東の違い:納骨のやり方
2021/02/05



少し前の記事の中で、関西と関東では納骨のやり方が違う、といったことを書いたように思います。
和型墓石であれば、お墓の見た目というのは、日本全国どこであれそう大きくは違わないわけですが、納骨方式という部分で異なっているとは、一般の方には少し意外かもしれません。
今回はそんな納骨のやり方の違いについて、簡単にご説明してみたいと思います。
まずは関西方式です。
弊社は奈良の石屋ですので、標準的に施工しているのはこちらの方式で納骨するお墓なのですが、関西方式の場合は石塔の下台に納骨穴が刳られており、普段は水鉢で隠されています。
納骨の際には水鉢を動かします。
写真でご覧いただくのが早いでしょう。
一枚目です。
普段はこの穴の前に水鉢が置かれている、というわけです。
他方、関東方式ですと、石塔の前に蓋石となる板石を置き、納骨の際にはそれをめくって行なう、という形になります。
これも写真でご覧いただきましょう。
二枚目です。
写真は弊社が奈良で施工したものなのですが、お施主さんのご意向で、関東の納骨方式で工事をしました。
これは洋型のお墓だからじゃないかと思われるかもしれませんが、関東では和型石塔でもこのように納骨室を作ります。
普段はこの納骨口を隠すように、板石が置かれているわけです。
なぜこのような違いが出るかということですが、基本的には火葬場でのお骨上げの際の違いによるものだと思います。
関東だとすべてのお骨を収骨する全収骨が基本で、関西は部分収骨です。
そのため、骨壺の基本サイズも異なっており、関東で標準的に使用される骨壺は関西のものより一回り二回りも大きいです。
さらに、骨壺のままでお墓の下に収容する関東に対し、現在の関西では、骨壺からお骨を袋に移してお納めするのが主流です。
(奈良でも古いお墓だと、骨壺のまま納められている例は結構お見受けしますし、地域差はもちろんあると思います。)
というわけで、関東型の納骨室の方が相対的に大きく、また納骨口も広めに設計されなければならない、ということになります。
また、骨壺のまま納める関東の納骨室は、中仕切りを付けて二段の棚のようになっていることも多いです。
写真三枚目がそうですね。
一見よく似た和型石塔が立っていても、お墓の下はまったく違うことがおわかりになるかと思います。
さらに地域によっては、丘カロート型といって、納骨室(カロート)に当たる部分を地下に作らず、地上施設にし、観音開きの扉を付けてお骨を納めるようにして、その上に石塔を建てるという方式が主流のところもあります。
和型石塔というモニュメントの形はよく似ていても、それを建てるに至るアプローチの部分が全然違う、という感じでしょうか。
日本型のお墓ということで「和型」と呼ばれるものでも、実は見た目以上に地域差があるというのは面白いですし、各地の文化の多様性といっていいものだと思います。
こんなところからもお墓という文化に興味を持っていただけたらなあ、と思う次第であります。
