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お墓の石の向きについて
2019/07/10


今回から二回に分けて、それぞれ角度を変えて、お墓の向きについて話してみたいと思います。
今回は、「お墓の石の向きについて」というタイトルでやらせていただきます。
これだけではなんともピンと来ないかもしれませんね。
お墓の向きはどうするのが縁起がいいか、という話ではありません。
本日取り上げるのは、モノとしての石そのものについてです。
和型のお墓というのは、基本的に四方どこから見ても、同じフォルムに見えます。
特殊な例外はありますが、間口と奥行の長さは等しく、真上から見れば正方形です。
竿石を取り上げても、「南無阿弥陀仏」とか「○○家之墓」とか彫られていない段階では、どちらが正面でどちらが裏になるかということが定まっているわけではありません。
ということはそのあたり、どこを正面に向けるかということは、石を扱う者の判断にかかってくることになります。
石のどの面を正面に使うか、どの面を側面にするか、という意味での石の向きというお話なのです。
製品になって入荷される石というのは、どれも厳しく検品されています。
ですが、四面もあれば、どの面が一番きれいか、というのはどうしても出てきますよね。
基本的には、やはり最も美しいと感じられる面を正面に回します。
美醜はある程度個々人の主観の問題でもあるでしょうが、それを言ってしまうと、とんでもない石を持ってきて、「いやこれがきれいな石なんだ」と言い張るなんてこともあり得ますので、万人が美しいと感じるであろう普遍的なライン、というものを想定しておくことはどうしても必要かと思います。
ちなみに国産の石ですと、加工業者さんも目利きが揃っていますので、納品された段階で自信を持って面を指定してくれている場合もあります。
写真一枚目です。
これは矢印が指している方を正面として使ってください、という意味です。
よほどのことがない限り、こういったマーキングには従います。
ちなみに「9」というのは、9寸角の石塔だという意味です。
こちらの現場では、同じ石種の9寸角の石塔と五輪塔を並べて建てますので、万が一にもどちらがどちらの部材かわからなくなるようなことが起こらないようにしてくれています。
次の写真は五輪塔の石です。
漢数字で「五」と書かれています。
ところがこっちには矢印が書かれていませんね。
どうしてか、と言いますと、この石は下台なんですね。
下台ということは、正面に納骨穴が刳られていますので、指定するまでもなく石の向きをどうするかは明らか、ということになります。
こういった指示のない場合、弊社の職人たちが必要な段階で判断する、ということになります。
ちょっとした白玉や黒玉があっても、位置次第では、彫刻を施した際に消えてしまうところだ、ということもありますし、結構実践的な判断力が必要となってくるところですね。
当然といえば当然なのですが、形になった石をただ漫然と組み上げているだけではないのです。
というわけで今回は、お墓の石の向きについて、でした。
