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灯篭いろいろ
2019/07/01



前の記事では、お客様のご自宅から古い灯篭を撤去する、という仕事についてご報告しました。
昨年、大阪北部地震があったためもあるかと思いますが、この一年ほどは灯篭を扱う仕事が例年よりもやや多かったような印象です。
実際に倒れてしまった灯篭の組み直しだけでなく、倒れていないものでも、地震を想定するとやはり不安材料になるのか、真っ直ぐに組み直したり、撤去したりといったことですね。
しかし石灯篭というのは、日本の伝統文化の一部をなすものであり、それ自体が芸術品といっていいようなものです。
そこで今回は、いろいろな種類の灯篭についてご紹介していきたいと思います。
灯篭というと、墓所区画の入口に置かれる墓前灯籠であったり、神社に置かれる神前灯篭であったり、シチュエーションに応じて設置されるタイプや大きさもさまざまですが、やはり和風のお庭の庭飾りとして置かれる場合が最もイメージしやすいでしょうか。
代表的なものとして、雪見灯篭があります。
脚付きの台石が印象的な灯篭ですね。
上から見て円形をしている丸雪見と、六角形のものが多い角雪見という、大きく二種類に分かれます。
上の写真一枚目は角雪見ですね。
写真をご覧になって、ああこれか、と思われた方もおられるんじゃないでしょうか。
わりとお馴染みの形の灯篭ではないかと思います。
奈良にはあまり雪は降りませんが、雪見という名の通り、雪景色を借景にすると非常に映えます。
また二枚目の写真のように、紅葉を背にしてもきれいですね。
季節ごとに表情、味わい方を変える灯篭です。
またかなり大きなものから、手の平に乗りそうなくらいのものまで、サイズのバリエーションも豊富です。
続いて写真二枚目ですが、こんな灯篭。
ちょっとピンボケしているのですが、下のプレートに彫られている文字が読めますでしょうか。
「蘭渓」と書かれています。
これは水場の近くに置くと映える灯篭ですね。
時代劇なんてでもよく見かける気がします。
お庭に池があるようなお宅はなかなかないでしょうが、実際に池がなくとも、小さな太鼓橋など置いて水場風に演出するお庭の作り方もありますし、そういったところに置かれるとよく似合うと思います。
そして今回の灯篭紹介は、やはり春日に締めてもらいましょう。
写真三枚目です。
雪見と並んで、最も代表的な灯篭の形、と呼べるんじゃないでしょうか。
神前に奉献する灯篭なども、この系統のものが多いと思います。
系統、と今申し上げましたが、飾り彫刻のシンプルなものから凝ったものまで、派生形がいろいろあるのも特徴と言えるかもしれません。
また、5尺くらいのものから10尺を越えるようなものまで、これも大きさに非常な幅があります。
とまあ簡単な紹介になりましたが、灯篭というものに興味を持っていただくきっかけ程度になれば幸いです。
灯篭ひとつあることで、お庭が引き締まるというか、景色に艶が出るような効果もあります。
わたしは庭づくりの専門家ではないので、あまり無責任なことは言えませんが、和風の庭園に限らず、洋風のお庭に置いても、一種のミスマッチの妙といったものが楽しめるのかもしれません。
住まいや暮らしに彩りを与えるものとして、灯篭文化が続いていけばいいなあ、と思ったりするところです。
