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2024-03-03
合祀墓というものを作った、というご報告をこれまでも何度か行なったかと思います。
今回ご紹介するのは、2023年末に施工した合祀墓の建立工事です。
場所は法華寺町にある寛照寺さんというお寺さんの境内で、弊社が懇意にさせていただいている日蓮宗の寺院さんです。
新たに合祀墓をお作りになるにあたって弊社にご用命いただいたということで、光栄かつありがたいことです。
あらためて合祀墓というものについて、まずご説明しておきましょうか。
一般のお墓というと、正面に「○○家之墓」と刻まれることが多いわけで、ひとつの家族を単位としてそれぞれのお墓を持つという形が基本になっています。
他方、合祀墓というのは、家族を単位とせず、納骨室についても区切りを設けず、まったくお互いに縁のない故人同士でも一箇所のお墓に一緒に入ることになる、という形態のものです。
ある合祀墓に家族揃って入るということももちろん考えられますが、その家族以外にもどなたも一緒に供養されるお墓の形式です。
近年、無縁社会と呼ばれる状況になり、核家族ですら解体しつつある時代を背景に、増えてきているお墓のあり方です。
墓じまいの後、その墓所に入っていたお骨を合祀墓で供養する、ということも少なくありません。
ともあれ、家墓と違う新しいお墓として、需要が伸びつつあるものです。
新しい霊園などでは、合祀形態の供養施設を持たないところの方が珍しいくらいでしょう。
そんな合祀墓の建立をこのほどご用命いただいたということで、その完成までもご報告してまいりたいと思います。
まずは現場ですが、寛照寺さんの境内地の本堂脇、鐘つき堂の隣の次のような場所です。
最初に現場確認にお伺いした際は、写真のように石が組まれた中に植え込みがあるという状態でしたが、工事前にこれは撤去していただくことになりました。
この敷地を使用して、合祀墓を作ることになります。
住職のご意見やご希望などをお聞きし、できるだけご希望に沿う形で完成形を考え、納骨方式などの構造を含めて図面へと落とし込んで提案させていただきます。
住職のご意向としては、いかにも合祀墓っぽい観音開きの納骨用扉などなくて、さりげなく普通の石塔墓所に見えるようなものがよいとのことで、通常の墓所のように巻石を据えた中に石塔を建てるという形で進めていくこととなりました。
なお、お寺の檀家さんの中に、この合祀墓のための石塔を寄付してくださるという方がおられたとのことで、当初の提案図面にその石塔を入れ、たたき台から徐々に完成形まで打ち合わせを進めていきました。
一番最初にご相談のためお寺に伺ったのが2023年の一月でしたから、完成までほぼ丸一年ということになりますね。
さて、現場を訪れましてまず行なうのは、測量です。
最初の段階では精密測量をするわけではなく、完成形の寸法をもとに、何がどの辺に来るのか大まかなあたりをつけ、搬入や施工について具体的なイメージを作っていきます。
では、ひと口に合祀墓の建立と言っても、どのような作業を伴うのかここでご説明したいと思います。
まずメインは、一般の墓所と同様の巻石を設置し、その内側に合祀墓のシンボルとなる石塔を建てるということです。
普通の墓と違うのは、一家族どころではない多くの方のお骨を入れられるようにしなければならないので、地面をかなり深く掘り、ブロック積みの大きな納骨室を作るという点です。
ただ、巻石と石塔については、通常の墓所工事に近い作業にはなります。
さらに、写真でもなんとなく手前側の方が低いのが見て取っていただけるかと思いますが、土地にかなり高低差がありまして、単純に巻石を据えようとすると、手前側の方に極端に高い部材が必要になります。
そこで、一様な巻石を据えられるようにするべく、土地そのものを嵩上げすることにします。
手前側に間知石(けんちいし)の石組み、要するに石垣のようなものを組んで足元を上げ、その内側に巻石・石塔を建立します。
イメージとしては、傾斜地を平坦にするようにまず本丸を作り、その中に天守閣を建てる、という感じです。
これが主要な作業となります。
さて、巻石の寸法はおよそ2.5メートル×1.5メートル。
納骨室はそれよりやや小さくなりますが、間知石のことまで考えますと、まず最初の掘り方の量から相当なものになります。
さすがに人力で掘るのは、やってできないことはないがキツイ、というわけでユンボを導入します。
うーん、やはり重機はいいですね。
なんというか、野趣あふれるロマンが漂うとでも言いましょうか。
さすがに機械の力は強力で、ブロック積みのためには1メートルほども土を掘り下げる必要があるのですが、グイグイと進めてくれます。
最初の床掘りが終わったところが次の写真です。
続いて基礎工事に入っていきます。
先ほど触れました通り、多くの方のご遺骨を納められるように、納骨室はかなり深く広く作り、お祀りされている方々のお名前を刻んだプレートを置けるように、銘版台も設置するということで、石塔や巻石にそれらを含めた総重量はかなりのものになります。
そのすべてを支えられるように、基礎がしっかりしていなければなりません。
そこでまず、掘り方を行なったところの底場を整地し、かなり厚めにクラッシャー(砕石)を敷いて転圧をかけ、足元を安定させます。
そこにさらに杭を打ち込み、下を支えられるようにします。
掘り下げられた部分の底が、周辺の元の土とやや異なった、灰色がかった色合いになっているのがおわかりになるかと思います。
これがクラッシャーの色です。
そこに並べられた杭を、立てて打ち込みます。
もちろんこの段階はまだ序の口で、さらにこの上に鉄筋を組みます。
コンクリの土間打ちを行なうわけですが、パイプが六本置かれているのは、自然の地盤とつながっておくための空気穴です。
下を完全にコンクリで覆ってしまうと、お骨が土に還る先が塞がれてしまうので、時間をかけてでもお骨が最終的に土に還れるようにという配慮です。
ただ、火葬場で焼かれた焼骨は、土葬の場合と違って、土に還るにはかなりの時間を要するようですが。
鉄筋が足元に網目状に組まれているだけでなく、垂直方向にも飛び出しているのは、ブロックのためです。
今回は、幅2メートル×奥行1メートル×深さ1メートルほどの納骨室をブロックで作ることになります。
ただ基礎の上にブロックを積むだけでなく、鉄筋で繋げて基礎と一体化し、より強固になるようにしているわけです。
コンクリートブロックに穴が開いているのはどなたもご存知かと思いますが、その穴に要所でこの縦筋を通してブロックを積み上げていくわけです。
その前に、基礎コンクリートですね。
鉄筋の上からその場で練ったコンクリートを流し込み、形を整えていきます。
これが入りきって、よく乾けば鉄筋コンクリートの基礎の出来上がりです。
その上にブロックを組んでいくことになります。
きちんと乾くと次のような状態になります。
非常に堅く、頑丈な基礎となっております。
なお、写真の向かって右手、板を挟んで納骨室部分とは区切られたところは、合祀墓本体の周辺を固める間知石(けんちいし)用の基礎です。
まずはメインの基礎の上に、コンクリートブロックを積んで納骨室を組んでいきます。
大勢の方の遺骨が納められるように、納骨室は普通のお墓よりもかなり大きく設計されています。
繰り返しになりますが、基礎から垂直に飛び出している鉄筋を、要所でブロックの穴に通して基礎と一体化させ、全体の強度を高めます。
こんな要領でブロックを積み上げていきます。
写真は三段目まで積んだところですが、全部で五段組みになります。
標準的な規格のブロックの高さは一個で約20センチですので、五段だと1メートルです。
ブロックの穴はどうするかというと、この穴にもコンクリートを入れて固めます。
こうして五段まで組んだところが次の写真です。
標準的な家族墓の納骨室からすると、まるでビルのような印象を受けます。
この上に納骨穴を刳った天板が置かれ、その上に石塔が建てられ、まわりを囲むように巻石が据えられることになります。
その前に、写真右側に置かれている三角形の無骨な石は何かと申しますに、これが間知石(けんちいし)です。
この写真ではわかりにくいですが、元の土地は左側より右側が低くなっており、そのまま普通に巻石を据えるとすると、見える部分の高さが随分と変わってしまいます。
つまりそのままなら、左側より右側に背の高い部材が必要になるわけですが、今回は右側の足元を嵩上げして、巻石をすべて一様の高さで据えられるようにします。
そのために、下を固めるために用いられるのが間知石でして、これを向かって右、さらに正面側に積んで足元の高さを平準化することになります。
間知石が納骨スペースを取り囲むようにズラッと並んでいるのがおわかりになるかと思います。
元は、写真右手の方がかなり低い状態だったのですが、間知石を組み、その内側をご覧のように埋めて平坦にすれば、普通に巻石を据えることができます。
なお、ブロック作りの納骨スペースの上に置かれているのが、御影石の天板です。
三か所に納骨用の穴が開けられています。
普段は蓋石などで隠されていますが、いざ納骨の際には、その穴からお骨を入れることができるという仕組みです。
なお、納骨スペースの内部にはさらに、小さな骨壺でも納骨が可能なように、棚板が設けられています。
いろいろな納骨形態に対応できるというわけです。
ちなみに納骨スペースを覆う天板、2メートル×1メートルの一枚ものの石で、単品としてはこちらの現場で使用する部材の中で最大のものです。
搬入からしてかなり苦労しましたが、これを据えてしまうとかなりホッとできましたね。
さて、ここまで進むと次は納骨室を囲む巻石を据えることになります。
この先の段取りは通常のお墓の作業と変わらないのですが、がっつりとクラッシャーを敷いた上に鉄筋を組み、巻石の部材を固定していきます。
写真のような感じで巻石が据わりました。
もちろん、四隅とくり階段の両脇など、要所にはステンレスの金具を入れて補強してあります。
納骨室の天板の上に、三つの納骨穴が開いている感じも、よくわかっていただけるのではないかと思います。
天板の裏に左右一対で設置されている石は、銘版台の台石です。
こちらの合祀墓にどなたが供養されているかわかるように、石の銘版(プレート)が置かれることになりますが、その一枚一枚の銘版を納める板石の台です。
ともあれここまで進めば、完成が見えてくるという段階ですね。
この先は通常の建墓工事とほとんど変わりありません。
まずは納骨スペースの蓋石も兼ねる天板の上に、石塔の下台を据えます。
写真に写っている白いものは、お馴染みの免震パッドです。
天板の上には三つの穴が開けられていますが、これらは納骨穴です。
中央の穴の上には石塔が立ち、左右の穴は平常時は蓋石が置かれます。
納骨の際にはいずれかの穴を開放して使うわけです。
天板の上に石塔の下台を持っていくのは、結構大変ですが、こちらの現場は移動式のクレーンを入れることができたので、その点は助かりました。
順々に石塔を組んでいきます。
随分と複雑な加工の台石と思われるかもしれませんが、これは蓮華と呼ばれるものです。
その名の通り、蓮華に乗って仏様のいる浄土に行くという意味合いの他、仏教で蓮華というと、それ自体に悟りの意味があるのだそうです。
個人のお墓にも使われます。
後ろに立っている、横石の入った板石は銘版台です。
上下の横石の間に、故人のお名前などが刻まれた銘版(プレート)を収容することができるようになっています。
巻石と天板の間の空間はわずかですが、そちらにはこれもお馴染みの草の生えにくい土を施工し、その上に玉砂利を敷きます。
また、間知石(けんちいし)積みの上、巻石の足場となっているスペースは、これも雑草対策という意味合いも兼ね、きれいにセメントで塗り上げます。
こうしてセメントを塗り、石塔には花筒や線香置きなどステンレスの部材を取り付け、一対のローソク立てを設置するなど、仕上げの作業が済めば、合祀墓の完成となります。
非常に立派な墓所が姿を見せてくれました。
きれいに出来上がりました。
石塔正面の「南無妙法蓮華経」のお題目は、宗派の開祖様が書かれた書体だそうです。
裏の銘版台には、サンプルとして数枚の黒御影のプレートを入れております。
向かって右側の、巻石だけが組まれたところにはお地蔵様が立つ予定で、これも後日工事をさせていただきました。
これで本当にすべて完成です。
多くの人が安らげる墓所になれば、と願ってやみません。
寛照寺さんでの新規合祀墓の建立工事、これにて完成です。
奈良をはじめ、近隣地域でのお墓工事のご用命は池渕石材まで。
お墓のリフォーム工事も新規建墓も、あるいは戒名彫刻から墓じまいまで、お墓のことなら何でもご相談承っております。
また、水・虫の入らない特許構造のお墓「信頼棺®」は、奈良市内では弊社のみが取り扱っております。
ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
右下の「詳細はこちら」よりお問い合わせフォームが開きますので、そちらも是非ご利用ください。
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合祀墓というものを作った、というご報告をこれまでも何度か行なったかと思います。
今回ご紹介するのは、2023年末に施工した合祀墓の建立工事です。
場所は法華寺町にある寛照寺さんというお寺さんの境内で、弊社が懇意にさせていただいている日蓮宗の寺院さんです。
新たに合祀墓をお作りになるにあたって弊社にご用命いただいたということで、光栄かつありがたいことです。
あらためて合祀墓というものについて、まずご説明しておきましょうか。
一般のお墓というと、正面に「○○家之墓」と刻まれることが多いわけで、ひとつの家族を単位としてそれぞれのお墓を持つという形が基本になっています。
他方、合祀墓というのは、家族を単位とせず、納骨室についても区切りを設けず、まったくお互いに縁のない故人同士でも一箇所のお墓に一緒に入ることになる、という形態のものです。
ある合祀墓に家族揃って入るということももちろん考えられますが、その家族以外にもどなたも一緒に供養されるお墓の形式です。
近年、無縁社会と呼ばれる状況になり、核家族ですら解体しつつある時代を背景に、増えてきているお墓のあり方です。
墓じまいの後、その墓所に入っていたお骨を合祀墓で供養する、ということも少なくありません。
ともあれ、家墓と違う新しいお墓として、需要が伸びつつあるものです。
新しい霊園などでは、合祀形態の供養施設を持たないところの方が珍しいくらいでしょう。
そんな合祀墓の建立をこのほどご用命いただいたということで、その完成までもご報告してまいりたいと思います。
まずは現場ですが、寛照寺さんの境内地の本堂脇、鐘つき堂の隣の次のような場所です。
最初に現場確認にお伺いした際は、写真のように石が組まれた中に植え込みがあるという状態でしたが、工事前にこれは撤去していただくことになりました。
この敷地を使用して、合祀墓を作ることになります。
住職のご意見やご希望などをお聞きし、できるだけご希望に沿う形で完成形を考え、納骨方式などの構造を含めて図面へと落とし込んで提案させていただきます。
住職のご意向としては、いかにも合祀墓っぽい観音開きの納骨用扉などなくて、さりげなく普通の石塔墓所に見えるようなものがよいとのことで、通常の墓所のように巻石を据えた中に石塔を建てるという形で進めていくこととなりました。
なお、お寺の檀家さんの中に、この合祀墓のための石塔を寄付してくださるという方がおられたとのことで、当初の提案図面にその石塔を入れ、たたき台から徐々に完成形まで打ち合わせを進めていきました。
一番最初にご相談のためお寺に伺ったのが2023年の一月でしたから、完成までほぼ丸一年ということになりますね。
さて、現場を訪れましてまず行なうのは、測量です。
最初の段階では精密測量をするわけではなく、完成形の寸法をもとに、何がどの辺に来るのか大まかなあたりをつけ、搬入や施工について具体的なイメージを作っていきます。
では、ひと口に合祀墓の建立と言っても、どのような作業を伴うのかここでご説明したいと思います。
まずメインは、一般の墓所と同様の巻石を設置し、その内側に合祀墓のシンボルとなる石塔を建てるということです。
普通の墓と違うのは、一家族どころではない多くの方のお骨を入れられるようにしなければならないので、地面をかなり深く掘り、ブロック積みの大きな納骨室を作るという点です。
ただ、巻石と石塔については、通常の墓所工事に近い作業にはなります。
さらに、写真でもなんとなく手前側の方が低いのが見て取っていただけるかと思いますが、土地にかなり高低差がありまして、単純に巻石を据えようとすると、手前側の方に極端に高い部材が必要になります。
そこで、一様な巻石を据えられるようにするべく、土地そのものを嵩上げすることにします。
手前側に間知石(けんちいし)の石組み、要するに石垣のようなものを組んで足元を上げ、その内側に巻石・石塔を建立します。
イメージとしては、傾斜地を平坦にするようにまず本丸を作り、その中に天守閣を建てる、という感じです。
これが主要な作業となります。
さて、巻石の寸法はおよそ2.5メートル×1.5メートル。
納骨室はそれよりやや小さくなりますが、間知石のことまで考えますと、まず最初の掘り方の量から相当なものになります。
さすがに人力で掘るのは、やってできないことはないがキツイ、というわけでユンボを導入します。
うーん、やはり重機はいいですね。
なんというか、野趣あふれるロマンが漂うとでも言いましょうか。
さすがに機械の力は強力で、ブロック積みのためには1メートルほども土を掘り下げる必要があるのですが、グイグイと進めてくれます。
最初の床掘りが終わったところが次の写真です。
続いて基礎工事に入っていきます。
先ほど触れました通り、多くの方のご遺骨を納められるように、納骨室はかなり深く広く作り、お祀りされている方々のお名前を刻んだプレートを置けるように、銘版台も設置するということで、石塔や巻石にそれらを含めた総重量はかなりのものになります。
そのすべてを支えられるように、基礎がしっかりしていなければなりません。
そこでまず、掘り方を行なったところの底場を整地し、かなり厚めにクラッシャー(砕石)を敷いて転圧をかけ、足元を安定させます。
そこにさらに杭を打ち込み、下を支えられるようにします。
掘り下げられた部分の底が、周辺の元の土とやや異なった、灰色がかった色合いになっているのがおわかりになるかと思います。
これがクラッシャーの色です。
そこに並べられた杭を、立てて打ち込みます。
もちろんこの段階はまだ序の口で、さらにこの上に鉄筋を組みます。
コンクリの土間打ちを行なうわけですが、パイプが六本置かれているのは、自然の地盤とつながっておくための空気穴です。
下を完全にコンクリで覆ってしまうと、お骨が土に還る先が塞がれてしまうので、時間をかけてでもお骨が最終的に土に還れるようにという配慮です。
ただ、火葬場で焼かれた焼骨は、土葬の場合と違って、土に還るにはかなりの時間を要するようですが。
鉄筋が足元に網目状に組まれているだけでなく、垂直方向にも飛び出しているのは、ブロックのためです。
今回は、幅2メートル×奥行1メートル×深さ1メートルほどの納骨室をブロックで作ることになります。
ただ基礎の上にブロックを積むだけでなく、鉄筋で繋げて基礎と一体化し、より強固になるようにしているわけです。
コンクリートブロックに穴が開いているのはどなたもご存知かと思いますが、その穴に要所でこの縦筋を通してブロックを積み上げていくわけです。
その前に、基礎コンクリートですね。
鉄筋の上からその場で練ったコンクリートを流し込み、形を整えていきます。
これが入りきって、よく乾けば鉄筋コンクリートの基礎の出来上がりです。
その上にブロックを組んでいくことになります。
きちんと乾くと次のような状態になります。
非常に堅く、頑丈な基礎となっております。
なお、写真の向かって右手、板を挟んで納骨室部分とは区切られたところは、合祀墓本体の周辺を固める間知石(けんちいし)用の基礎です。
まずはメインの基礎の上に、コンクリートブロックを積んで納骨室を組んでいきます。
大勢の方の遺骨が納められるように、納骨室は普通のお墓よりもかなり大きく設計されています。
繰り返しになりますが、基礎から垂直に飛び出している鉄筋を、要所でブロックの穴に通して基礎と一体化させ、全体の強度を高めます。
こんな要領でブロックを積み上げていきます。
写真は三段目まで積んだところですが、全部で五段組みになります。
標準的な規格のブロックの高さは一個で約20センチですので、五段だと1メートルです。
ブロックの穴はどうするかというと、この穴にもコンクリートを入れて固めます。
こうして五段まで組んだところが次の写真です。
標準的な家族墓の納骨室からすると、まるでビルのような印象を受けます。
この上に納骨穴を刳った天板が置かれ、その上に石塔が建てられ、まわりを囲むように巻石が据えられることになります。
その前に、写真右側に置かれている三角形の無骨な石は何かと申しますに、これが間知石(けんちいし)です。
この写真ではわかりにくいですが、元の土地は左側より右側が低くなっており、そのまま普通に巻石を据えるとすると、見える部分の高さが随分と変わってしまいます。
つまりそのままなら、左側より右側に背の高い部材が必要になるわけですが、今回は右側の足元を嵩上げして、巻石をすべて一様の高さで据えられるようにします。
そのために、下を固めるために用いられるのが間知石でして、これを向かって右、さらに正面側に積んで足元の高さを平準化することになります。
間知石が納骨スペースを取り囲むようにズラッと並んでいるのがおわかりになるかと思います。
元は、写真右手の方がかなり低い状態だったのですが、間知石を組み、その内側をご覧のように埋めて平坦にすれば、普通に巻石を据えることができます。
なお、ブロック作りの納骨スペースの上に置かれているのが、御影石の天板です。
三か所に納骨用の穴が開けられています。
普段は蓋石などで隠されていますが、いざ納骨の際には、その穴からお骨を入れることができるという仕組みです。
なお、納骨スペースの内部にはさらに、小さな骨壺でも納骨が可能なように、棚板が設けられています。
いろいろな納骨形態に対応できるというわけです。
ちなみに納骨スペースを覆う天板、2メートル×1メートルの一枚ものの石で、単品としてはこちらの現場で使用する部材の中で最大のものです。
搬入からしてかなり苦労しましたが、これを据えてしまうとかなりホッとできましたね。
さて、ここまで進むと次は納骨室を囲む巻石を据えることになります。
この先の段取りは通常のお墓の作業と変わらないのですが、がっつりとクラッシャーを敷いた上に鉄筋を組み、巻石の部材を固定していきます。
写真のような感じで巻石が据わりました。
もちろん、四隅とくり階段の両脇など、要所にはステンレスの金具を入れて補強してあります。
納骨室の天板の上に、三つの納骨穴が開いている感じも、よくわかっていただけるのではないかと思います。
天板の裏に左右一対で設置されている石は、銘版台の台石です。
こちらの合祀墓にどなたが供養されているかわかるように、石の銘版(プレート)が置かれることになりますが、その一枚一枚の銘版を納める板石の台です。
ともあれここまで進めば、完成が見えてくるという段階ですね。
この先は通常の建墓工事とほとんど変わりありません。
まずは納骨スペースの蓋石も兼ねる天板の上に、石塔の下台を据えます。
写真に写っている白いものは、お馴染みの免震パッドです。
天板の上には三つの穴が開けられていますが、これらは納骨穴です。
中央の穴の上には石塔が立ち、左右の穴は平常時は蓋石が置かれます。
納骨の際にはいずれかの穴を開放して使うわけです。
天板の上に石塔の下台を持っていくのは、結構大変ですが、こちらの現場は移動式のクレーンを入れることができたので、その点は助かりました。
順々に石塔を組んでいきます。
随分と複雑な加工の台石と思われるかもしれませんが、これは蓮華と呼ばれるものです。
その名の通り、蓮華に乗って仏様のいる浄土に行くという意味合いの他、仏教で蓮華というと、それ自体に悟りの意味があるのだそうです。
個人のお墓にも使われます。
後ろに立っている、横石の入った板石は銘版台です。
上下の横石の間に、故人のお名前などが刻まれた銘版(プレート)を収容することができるようになっています。
巻石と天板の間の空間はわずかですが、そちらにはこれもお馴染みの草の生えにくい土を施工し、その上に玉砂利を敷きます。
また、間知石(けんちいし)積みの上、巻石の足場となっているスペースは、これも雑草対策という意味合いも兼ね、きれいにセメントで塗り上げます。
こうしてセメントを塗り、石塔には花筒や線香置きなどステンレスの部材を取り付け、一対のローソク立てを設置するなど、仕上げの作業が済めば、合祀墓の完成となります。
非常に立派な墓所が姿を見せてくれました。
きれいに出来上がりました。
石塔正面の「南無妙法蓮華経」のお題目は、宗派の開祖様が書かれた書体だそうです。
裏の銘版台には、サンプルとして数枚の黒御影のプレートを入れております。
向かって右側の、巻石だけが組まれたところにはお地蔵様が立つ予定で、これも後日工事をさせていただきました。
これで本当にすべて完成です。
多くの人が安らげる墓所になれば、と願ってやみません。
寛照寺さんでの新規合祀墓の建立工事、これにて完成です。
奈良をはじめ、近隣地域でのお墓工事のご用命は池渕石材まで。
お墓のリフォーム工事も新規建墓も、あるいは戒名彫刻から墓じまいまで、お墓のことなら何でもご相談承っております。
また、水・虫の入らない特許構造のお墓「信頼棺®」は、奈良市内では弊社のみが取り扱っております。
ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
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