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北方領土とお墓参り
2017/05/11

四月末のことになりますが、日露首脳会談を報ずるニュースの中に、「北方領土への墓参に航空機を活用することで合意」というのがあって、印象に残りました。
ヤフーのトップページでヘッドラインにまでなっていましたね。
そちらの方はもうリンク切れになってしまいましたが、大元の日テレNEWS24のサイトではまだ記事を読むことができます。
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長らく住んでいた土地を突如として追われてしまった人々にとって、その地に眠る家族親族を偲び、お墓参りをしたいというのはごく当然の願いでしょうし、こういった国際問題の局面でお墓がクローズアップされることには、私個人としても感慨のようなものもあります。
今回の報道があってから初めてちゃんと調べ、知ったのですが、北方領土へのお墓参り事業というのは、随分と歴史のあるものだったんですね。
昭和39年というと1964年、東京オリンピックの年です。
当時はまだソ連でしたが、お墓参りを人道的見地から捉えて長らく交渉し、この年に初めて北方領土墓参が実現したんだそうです。
領土問題というとあまりに高度な政治問題なわけで、お墓参りに行く方々がどのような手続きで北方四島に渡っているのかというのも気になるところですが、この場合はパスポートやビザなしの身分証明書のみで渡航可能というのが慣例になっているようです。
ソ連側がパスポートとビザの取得を要求して、それだと北方領土をソ連領だと認めることになってしまうという理由から、墓参が停止に追い込まれるという時期もあったようですが、現在では毎年実施されているとのことです。
昨年、平成28年ですと、99人の方が船で墓参に行かれたみたいです。
その辺の歴史や数値は、内閣府のページをご参照ください。
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お墓参りから日露平和を、と思うのはさすがに非現実的かもしれませんが、こういった事業が継続されているのはそれだけで重要だと思います。
墓参というのが人道問題として認識されているのも興味深いです。
お墓というのは、そこに祀られている人についてもお参りする人についても、人間の尊厳というものに関わるのであり、領土をめぐる政治問題にすら一石を投じうるものだということは、石屋としても考えさせられるところ大だと感じました。
元島民の方々がいつでも自由にお墓参りに行けるような環境が整備されることを願いつつ、お墓の重みについて思いを馳せた次第です。
