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灯籠補修工事:奈良公園内旅館

2018/07/24



今回は施工事例の紹介をさせていただこうかと思います。

前の記事で大阪府北部地震の爪痕、ということに触れましたが、傾いた石塔やこけてしまった灯籠の補修、といった仕事をご用命いただく件数がいくつかございました。

ここでご紹介するのもそのようなひとつで、地震によって倒れた灯籠の補修ですね。

場所は奈良公園内です。

春日大社の参道すぐ南側という、絶好のロケーションにある料理旅館さんからのご依頼でした。


確認に現場を訪れたところ、写真一枚目のような状態になっていました。

高さ2メートルほどの古い春日灯籠ですね。

地震で揺れ、隣の木に寄りかかるような状態で止まっています。

この木がなければ、完全に倒れてしまっていたでしょう。

見たところ、笠石や火袋などに大きな破損個所はありませんが、柱石が単にこけただけなのか、それとも下で折れているのかによって、補修の内容が変わってきます。

台石も元から少し傾いていたように見受けられます。

現場確認に伺ったのは午前十時頃でしたが、この日はちょうど職人が全員動ける状況だったので、早速その日の午後に作業させていただくことになりました。

  

入り組んだところもある奈良公園内ですが、現場の横にトラックで乗り付けさせていただきました。

塀越しにクレーンを伸ばすことができます。

まずは灯籠の各部材をバラすところからスタートです。

最初の写真にあるように、木にもたれるように倒れていて、どの部分にテンションがかかってバランスが保たれているのかを確認しなければなりません。

下手に触って力のバランスが変わると、今度こそ本当に横倒し、なんてことにもなりかねませんからね。

しかし幸い、注意しながら全体を起こし直すと、やや傾いているながらも自立を回復してくれました。

このことから、柱石のダメージもそれほど深刻ではないと判断されます。

この日のうちに全部の組み直しができそうでした。

というわけで、あらためて灯籠の解体にかかります。


まずは宝珠を外し、笠石を吊り上げます。

写真二枚目をご覧ください。

直接笠石に吊り紐をかけず、板を差し込んでワンクッション置いているのは、とにかく慎重に作業したかったからです。

古い灯籠というのは、柔らかめの石で造られていることも多く、経年劣化だけでも相当なものになるので、不用意に笠石の飾り部分を持って重量がかかったりすると、ポキっといくようなことがあるんですよね。。

そのための慎重を期しての対応です。

火袋と受けも同様にして動かします。

細かい装飾が多い部材は本当に気を遣います。

一度要領を確認してしまうと、あとはその場で慣れていくものではありますが。

そうして各部材の解体が済むと、今度は組み直しのプロセスに入ります。

まずは台石からです。

  

ここが据わると、柱→受け→火袋→笠石→宝珠という順で置いていくことになります。

とまあひと口でいうのは簡単なんですが、実際やるとなかなかどうして苦労します。

まず古い灯籠で、あっちが欠けたりこっちが擦り減ったりしているので、どこで水平の基準を見るべきか判断に困る、というのがあります。

柱一つをとっても、正面はちゃんと立ってるけど、道具を裏で合わせてみれば傾きが残ってる、なんてことが起こるわけですね。

また、柱で水平を合わせたのに、受けと火袋を乗せたら合わなくなった、どうしよう→あれこれ試しているうちに、いったん決まっていた柱までまた動かさなければならなくなった、みたいな感じですね。

しかしまあ言い訳ではありませんが、古い灯籠の復元作業で100%というのはありえないと思います。

ただ、だからテキトーでいいというのでももちろんなく、100%が不可能な中でどれだけ最善を尽くすかというところに、仕事のクオリティがあらわれるというものでしょう。

相当な試行錯誤を重ね、灯籠の組み直しが完了した状態が写真三枚目です。

 

 

元々年季を経て味わいを出していた灯籠が、和風の庭ともあいまって実にいい感じですね。

細かい欠けの部分の補修も、できる限り行なっています。

欠けた破片を張り付け、違和感なく自然に見えるように仕上げています。

大きな破損がなかったのがよかったですね。

これでまた見栄えもよくなりましたし、宿泊客の方にも安心して滞在していただけるのが何よりかな、と思ったりもします。

奈良公園内の旅館さんでの灯籠修復工事、これにて完成です。

 

 


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